【岩手】鬼の手形

鬼の手形 岩手県盛岡市
ようかいかんこうスポット

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、岩手山が噴火した時に大きな大きな石が盛岡に飛んできて、北山のあたりに落ちました。石は三ツ石(みついし)と呼ばれていました。

そのころの盛岡は今のように賑やかではなく、まだまだ寂しい村でした。さらには羅刹鬼(らせつき)という鬼がやって来ては、村人をさらって行ったりといった酷い悪さをしていました。

こうも毎度悪事を働かれてはたまったものではないと、村人たちは相談します。
「そうじゃ、三ツ石さまにお願いするべえ」
村人たちは三ツ石に足を運び、石に向かって祈りを捧げました。

三ツ石には神様がいて、神様もまた鬼の悪行をよく見ていました。村人たちの願いもあることだし、これはなんとかしてやろうと考えた神様は、その神通力を使って鬼を捕まえて動けないようにしたのです。

「これ、悪さをする鬼よ。お前をこのまま石に封じ込めてしまうぞ」
神様が鬼にそう言うと、手も足も動かせなくなった鬼は怖くなって震えあがりました。

「神様、おらが悪かった。なにとぞお許しくだせえ。もう悪さは一切しません」
鬼はわんわん泣いて謝り始めます。

泣く赤鬼

さすがにちょっと可哀想に思えたのでしょう。神様はうんうんと頷いて告げました。
「ならば、もう二度とこの村には来ないと約束しなさい」
「もちろんだ。もう二度と村には来ねえだ」
涙を拭きながら鬼は答えます。

「だったら、証文を残さねばならん」
「証文だべか?」
「うむ。この三ツ石に手形をぐいっと押しなさい。手形をわしとお前との約束の証にするのじゃ」

鬼は石に両手をぐぐぐいっと押し当てました。石には鬼の左手と右手の型がくっきりと表れました。
そしてようやく手足が動けるようになった鬼は、逃げるようにして村から出て行ったのだそうです。

このようなことがあったので、このあたりは鬼が来ない方向という意味の「不来方」(こずかた)と呼ばれるようになりました。
さらに、「岩手」の県名も、岩に手形を押したことがそのいわれになっているのだとか。

今でも三ツ石には鬼の手形がわずかに残っていて、雨で石が濡れると、手の形がうっすら見えるそうな。

むかしむかし、岩手山(いわてやま)が ふんかした時に 大きな大きな石が 盛岡(もりおか)にとんできて、北山(きたやま)のあたりに おちました。石は三ツ石(みついし)と よばれていました。

そのころの「もりおか」は 今のように にぎやかではなく、まだまださみしい村でした。さらには羅刹鬼(らせつき)という オニが やって来ては、村人を さらって行ったりといった ひどいわるさを していました。

こうもまいど あくじをはたらかれては たまったものではないと、村人たちは そうだんします。
「そうじゃ、『みついし』さまに おねがいするべえ」
村人たちは「みついし」に 足をはこび、石にむかって いのりをささげました。

「みついし」には かみさまがいて、かみさまもまた オニのわるさを よく見ていました。村人たちのねがいも あることだし、これはなんとかしてやろうと かんがえたかみさまは、その「じんつうりき」をつかって オニをつかまえて うごけないようにしたのです。

「これ、わるさをするオニよ。おまえを このまま石に ふうじこめてしまうぞ」
かみさまが オニにそう言うと、手も足も うごかせなくなったオニは こわくなって ふるえあがりました。

「かみさま、おらがわるかった。なにとぞ おゆるしくだせえ。もうわるさは いっさいしません」
オニは わんわんないて あやまりはじめます。

泣く赤鬼

さすがにちょっと かわいそうに おもえたのでしょう。かみさまは うんうんとうなずいて つげました。
「ならば、もうにどと この村には来ないと やくそくしなさい」
「もちろんだ。もうにどと 村には来ねえだ」
なみだをふきながら オニはこたえます。

「だったら、しょうもんを のこさねばならん」
「しょうもんだべか?」
「うむ。この『みついし』に 『てがた』をぐいっと おしなさい。『てがた』を わしとおまえとの やくそくのあかしにするのじゃ」

オニは石にりょうてを ぐぐぐいっと おしあてました。石にはオニの 左手と右手のかたが くっきりと表れました。
そしてようやく手足が うごけるようになったオニは、にげるようにして 村から出て行ったのだそうです。

このようなことが あったので、このあたりは オニが来ないほうこう といういみの「不来方」(こずかた)と よばれるようになりました。
さらに、「岩手(いわて)」の県名(けんめい)も、岩(いわ)に「てがた」を おしたことが そのいわれになっているのだとか。

今でも「みついし」には オニの手形が わずかにのこっていて、雨で石がぬれると、手のかたちが うっすら見えるそうな。


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三ツ石神社

三ツ石神社とさんさ踊り

岩手県を代表する踊りである「さんさ踊り」は、鬼の退散を喜んで、さんさ、さんさと踊ったことが、そのはじまり



よみ みついしじんじゃ
住所 岩手県盛岡市名須川町2-1
電話 019-622-2061(桜山神社)
時間
休み なし
料金 無料
その他  

画像引用:盛岡さんさ踊り実行委員会様(http://www.sansaodori.jp/)

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