むかしがたり

大黒様に48種類の豆料理を作れと言われた男は…「大黒様と伝三郎長者」

ホーム > 北海道・東北地方 > 大黒様と伝三郎長者

大黒様と伝三郎長者 青森県八戸市

  • おもしろかんこうスポット

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、八戸(はちのへ)の八幡さまに、大黒さまを祀るお社がありました。
その八幡さまの近くには、伝三郎(でんざぶろう)という若い男が暮らしていました。伝三郎はそれはそれは怠け者でろくに働きもせず、いつも寝転んでばかり。

「働くのは億劫じゃなあ。働かずに長者になれればいいんじゃがなあ」
そんなことばかり考えながら、毎日ゴロゴロと過ごしていたのです。

ある日、ふと思い立った伝三郎は、八幡さまの大黒さまにお参りすることにしました。ありがたい大黒さまなら、きっと願いを叶えてくれると思ったからです。

大黒さまのお社の前で手を合わせた伝三郎。
「大黒さま、大黒さま、どうかお願いじゃ。おらを長者にしてくだせえ。今日から毎日お参りに来るから、どうか願いを叶えてくだせえ」

普段は家でゴロゴロ寝てばっかりの伝三郎でしたが、毎日お社まで出向いて祈り続けました。

そして熱心に通い続けて二十一日目の夜。
伝三郎の目の前に、大黒さまが現れました。大黒さまは伝三郎に向かって、こう言ったのです。
「伝三郎よ。毎日欠かさず熱心に祈るお前の姿、しっかり見届けたぞ。
だからお前の願いを叶えてやろうじゃないか。
ただし、ひとつだけ条件があるんじゃ。年の暮れの大晦日の夜にな、四十八種類の豆料理を持って来るんじゃ。
必ず四十八だ。良いな?」

豆料理

「こりゃありがたいお告げに違いないぞ」
そう思うと、伝三郎は嬉しくて仕方ありません。

大晦日の朝、伝三郎は急いでたくさんの豆を買って来て、料理を作り始めました。しかし伝三郎が知っている豆料理の数では、とても四十八には足りません。
伝三郎は村中の家々を訪ね回っては、他の豆料理の作り方を教わりました。

どれくらい時間が経ったことでしょう。気がつけばすっかり夜になっていました。
村人がいろいろ教えてくれたおかげもあって、たくさんの豆料理ができました。
伝次郎はできあがった豆料理の皿を数えます。

「ひい、ふう、みい、よ、いつ…」
けれどもどれだけ数え直しても、皿の数は四十六しかありません。大黒さまは四十八種類の豆料理を揃えろと言っていたのに。

それに今からもう二種類作ろうにも時間がありません。仕方なく伝三郎は四十六の豆料理を持って、大黒さまのお社に向かいました。

「大黒さま、豆料理を持って来たけれど、どうしても四十六種類しか作れなんだ」
すると大黒さまはにっこり笑いました。
「良いのじゃ。それで良いのじゃ。
お前は四十八の豆をちゃんと持って来ておる。ほれ、よーく見てみよ。お前の手に豆ができておろう。お前の足にも豆ができておろう。それを足せば四十八じゃ」

伝三郎はハッと気が付きます。
「そうか…手と足に豆ができるくらい、一生懸命働けば、長者になれるのか」
伝三郎は大黒さまにお礼を言うと、駆け足で家に戻りました。

夜が明けて正月になりました。
普段でも寝転がっている伝三郎ですから、正月はますます寝転がっているに違いない。そう考えていた村人が見たのは、せっせと畑を耕す伝三郎の姿でした。

人が変わったように畑仕事に精を出し始めた伝三郎は、春には木を切り倒して田んぼを作りました。田んぼはどんどん広くなり、たくさんの米ができました。
そしていつのころからか、村人から長者と呼ばれるほどの金持ちになったのだそうな。

むかしむかし、八戸(はちのへ)の はちまんさまに、だいこくさまを まつるおやしろが ありました。
そのはちまんさまの ちかくには、でんざぶろうという わかい男が くらしていました。でんざぶろうは それはそれは なまけもので ろくにはたらきもせず、いつも ねころんでばかり。

「はたらくのは おっくうじゃなあ。はたらかずに 『ちょうじゃ』になれれば いいんじゃがなあ」
そんなことばかり かんがえながら、まいにちゴロゴロと すごしていたのです。

ある日、ふとおもい立った でんざぶろうは、はちまんさまの だいこくさまに おまいりすることに しました。ありがたい だいこくさまなら、きっとねがいを かなえてくれると おもったからです。

だいこくさまの おやしろのまえで 手を合わせた でんざぶろう。
「だいこくさま、だいこくさま、どうかおねがいじゃ。おらを『ちょうじゃ』にしてくだせえ。今日からまいにち おまいりに来るから、どうかねがいを かなえてくだせえ」

ふだんは家で ゴロゴロねてばっかりの でんざぶろうでしたが、まいにちおやしろまで でむいて いのりつづけました。

そして ねっしんに かよいつづけて二十一日目のよる。
でんざぶろうの 目のまえに、だいこくさまが あらわれました。だいこくさまは でんざぶろうに向かって、こう言ったのです。
「でんざぶろうよ。まいにちかかさず ねっしんにいのる おまえのすがた、しっかり見とどけたぞ。
だからおまえの ねがいを かなえてやろうじゃないか。
ただし、ひとつだけ じょうけんがあるんじゃ。年のくれの『おおみそか』の よるにな、四十八しゅるいの まめりょうりを もって来るんじゃ。
かならず四十八だ。よいな?」

豆料理

「こりゃ ありがたいおつげに ちがいないぞ」
そうおもうと、でんざぶろうは うれしくて しかたありません。

「おおみそか」のあさ、でんざぶろうは いそいでたくさんの まめをかって来て、りょうりを 作りはじめました。しかしでんざぶろうが しっている まめりょうりのかずでは、とても四十八には 足りません。
でんざぶろうは 村じゅうの いえいえを たずねまわっては、ほかのまめりょうりの 作りかたを おそわりました。

どれくらいじかんが たったことでしょう。気がつけば すっかりよるに なっていました。
村人が いろいろおしえてくれた おかげもあって、たくさんの まめりょうりが できました。
でんざぶろうは できあがった まめりょうりの さらを かぞえます。

「ひい、ふう、みい、よ、いつ…」
けれども どれだけかぞえなおしても、さらのかずは 四十六しかありません。だいこくさまは 四十八しゅるいの まめりょうりを そろえろと 言っていたのに。

それに今から もう二しゅるい 作ろうにも じかんがありません。しかたなく でんざぶろうは 四十六の まめりょうりをもって、だいこくさまの おやしろに むかいました。

「大黒さま、まめりょうりを もって来たけれど、どうしても 四十六しゅるいしか 作れなんだ」
するとだいこくさまは にっこりわらいました。
「よいのじゃ。それでよいのじゃ。
おまえは 四十八のまめを ちゃんともって来ておる。ほれ、よーく見てみよ。おまえの手に まめが できておろう。おまえの足にも まめが できておろう。それを足せば 四十八じゃ」

でんざぶろうは ハッと気がつきます。
「そうか…手と足に まめができるくらい、いっしょうけんめい はたらけば、『ちょうじゃ』に なれるのか」
でんざぶろうは だいこくさまに おれいを言うと、かけ足で いえにもどりました。

よが明けて 正月になりました。
ふだんでも ねころがっている でんざぶろうですから、正月は ますますねころがっているに ちがいない。そうかんがえていた 村人が見たのは、せっせと 畑をたがやす でんざぶろうの すがたでした。

人がかわったように 畑しごとに せいを出しはじめた でんざぶろうは、はるには 木を切りたおして 田んぼを 作りました。田んぼは どんどん広くなり、たくさんの米が できました。
そして いつのころからか、村人から 『ちょうじゃ』とよばれるほどの 金もちになったのだそうな。

 昔話の舞台へでかけよう

 櫛引八幡宮

櫛引八幡宮

本殿など5棟の社殿が重要文化財。秋季大祭には流鏑馬や弓道大会、少年相撲大会など様々な芸能が奉納されます


よみ くしひきはちまんぐう
住所 青森県八戸市八幡字八幡丁3
電話 0178-27-3053
時間 国宝館 9時~17時
定休 なし
料金 国宝館 大人400円、高校生以下300円、小学生200円、未就学児無料
その他  

画像引用:公益社団法人 青森県観光連盟様(http://www.aptinet.jp/Detail_display_00000434.html)