【沖縄県】くじらになった牛

くじらになった牛 沖縄県渡嘉敷村
どうぶつ

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかしのおおむかし。海に住んでいるあの大きなくじらは、牛でした。くじらは牛だから、陸で暮らしていました。
でも陸の暮らしは大変でした。人間たちは牛をこき使ったからです。

毎日毎日田んぼや畑で一生懸命働き続けた牛でしたが、あまりに辛くてもう我慢できません。
「もうイヤじゃ。陸で暮らしていくのはこりごりじゃ」
そう言って、牛は陸を逃げ出しました。

陸の先には海がありました。牛は海にドボンと飛びこみます。そしてしばらく泳いで潜ってみると、そこには竜宮城がありました。
「こりゃいい。ここで暮らそう」

牛は喜んで竜宮城に入って行きました。
けれども困ったことに、竜宮の神様は牛を休ませるどころか、陸の人間たちと同じように牛をこき使うのでした。

竜宮城

「こりゃたまらん。こんなところにいられないわい」
すぐさま牛は、竜宮城から逃げ出しました。海の中をずっと泳ぎ続けました。
不思議なことが起きました。泳ぎ続けるうちに牛の身体は、だんだんとくじらの姿に変わっていったのです。

一方、牛が逃げたことに気付いた竜宮の神様は怒りました。すぐにシャチを呼び寄せて、牛を追い掛けて探すように命令します。さらには見つけたら殺してしまえと怒鳴りました。

それからというもの、シャチはくじらを見つけると、突き殺すようになってしまったのだそうな。
そしてくじらもまた元々牛だったせいで、今でも鳴く時は牛の声のような「ンモー」という鳴き方をするのだとか。

むかしむかしの おおむかし。うみにすんでいる あの大きなくじらは、牛でした。くじらは牛だから、りくで くらしていました。
でもりくのくらしは たいへんでした。にんげんたちは 牛をこきつかったからです。

まいにちまいにち 田んぼや畑で いっしょうけんめい はたらきつづけた牛でしたが、あまりにつらくて もうがまんできません。
「もうイヤじゃ。りくで くらしていくのは こりごりじゃ」
そう言って、牛はりくを にげ出しました。

りくの先には うみがありました。牛はうみにドボンと とびこみます。そしてしばらく およいでもぐってみると、そこには「りゅうぐうじょう」がありました。
「こりゃいい。ここでくらそう」

牛はよろこんで 「りゅうぐうじょう」に入って行きました。
けれども こまったことに、りゅうぐうのかみさまは 牛を休ませるどころか、りくのにんげんたちと おなじように 牛をこきつかうのでした。

竜宮城

「こりゃたまらん。こんなところに いられないわい」
すぐさま牛は、「りゅうぐうじょう」から にげ出しました。うみの中をずっと およぎつづけました。
ふしぎなことが おきました。およぎつづけるうちに 牛の体は、だんだんと くじらのすがたに かわっていったのです。

いっぽう、牛がにげたことに 気づいた りゅうぐうのかみさまは おこりました。すぐにシャチを よびよせて、牛をおいかけて さがすようにめいれいします。さらには見つけたら ころしてしまえと どなりました。

それからというもの、シャチはくじらを見つけると、つきころすように なってしまったのだそうな。
そしてくじらもまた もともと牛だったせいで、今でもなくときは 牛のこえのような「ンモー」という なきかたを するのだとか。


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