【宮崎県】祭られたカッパ

祭られたカッパ 宮崎県都農町
ようかい

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、都農(つの)という村にひとりの和尚さんが住んでいました。
ある日、馬に乗って出掛けた和尚さん。用事も済んで、じゃあ戻ろうかとお寺に向かってのんびりと馬で帰っていたときのことです。

まもなくお寺に着くあたりで、川のほとりに出た和尚さんは、一休みをしようと思い立ちました。
馬に川の水を飲ませた和尚さんは、もう少し馬を休ませておこうと、馬の手綱を近くの木に結んでおきます。
「これでええ」
頷いた和尚さんは馬を置いて、歩いて寺に戻りました。

和尚さんが寺で寛いでいると、馬のヒヒーンという高らかな声がします。
「なんじゃろう?」
不思議に思って外に出てみれば、さっき木に結んだはずの手綱がほどけたようで、馬が激しくいななきながら走っていました。
ただ走っていたわけではありません。馬は口にカッパを咥えていたのです。

和尚さんが立ち去ったのを見た川のカッパたちが、のんびり休んでいた馬にいたずらしようと、手綱をほどいて川に引きずり込もうとしたようなのです。当然馬は驚きました。暴れに暴れて一匹のカッパを口で噛み、そのまま咥えて走って来たのでした。

和尚さんはいたずらばかりするカッパを懲らしめないといけないと思い、そのカッパを縄で木に括りつけます。
時間が経ち夕方にもなれば、カッパの頭の皿はすっかり乾いてしまいました。カッパは泣きながら謝りました。

さすがにこれだけ泣かれると、和尚さんも気の毒に思えてきます。和尚さんはカッパの頭の皿に水をかけてやりました。
するとカッパはたちまち元気になりました。なんと自力で縄をちぎって、走って逃げて行ったほどです。

カッパ

しかし次の日から和尚さんはカッパに苦しめられました。朝からお寺にぞろぞろとカッパたちがやって来て、大騒ぎするのです。お堂で騒いだり、部屋を散らかしたり、しまいには畑の作物を荒らすようになりました。
さすがにここまでやりたい放題されてしまうと、和尚さんも我慢できません。
和尚さんは村人と相談して、カッパを大人しくさせようと思い立ちました。

村人にたくさんの石を拾って来てもらい、和尚さんが一個一個の石にお経を筆で書いていきます。その石を今度は村人が運んでカッパが棲む川に放り投げました。

するとどうでしょう。ありがたいお経の力で、水の中に棲むカッパたちの身体がだんだん痺れて手足が自由に動かなくなったのです。
これにはカッパたちも音を上げて、和尚さんの前に出て来て跪き、謝りました。
「もういたずらをしませんから、許してください。炒った豆から芽を出すことがあったとしても、みなさんに迷惑をかけません」

和尚さんはにこりと微笑んで、川の石を取り除くよう村人に命じました。
それからはカッパたちは一切いたずらをしなくなったそうな。

むかしむかし、都農(つの)という村に ひとりのおしょうさんが 住んでいました。
ある日、ウマにのって 出かけたおしょうさん。ようじもすんで、じゃあもどろうかと お寺に向かって のんびりとウマで かえっていたときのことです。

まもなくお寺に つくあたりで、川のほとりに出た おしょうさんは、一休みをしようと 思い立ちました。
ウマに川の水を のませたおしょうさんは、もう少しウマを 休ませておこうと、ウマのたづなを ちかくの木に むすんでおきます。
「これでええ」
うなずいたおしょうさんは ウマをおいて、あるいて寺に もどりました。

おしょうさんが 寺でくつろいでいると、ウマのヒヒーンという 高らかなこえがします。
「なんじゃろう?」
ふしぎに思って 外に出てみれば、さっき木にむすんだはずの たづながほどけたようで、ウマがはげしく いななきながら はしっていました。
ただはしっていたわけでは ありません。ウマは口に カッパをくわえていたのです。

おしょうさんが 立ちさったのを見た 川のカッパたちが、のんびり休んでいたウマに いたずらしようと、たづなをほどいて 川にひきずりこもうと したようなのです。とうぜんウマは おどろきました。あばれにあばれて いっぴきのカッパを 口でかみ、そのままくわえて 走って来たのでした。

おしょうさんは いたずらばかりするカッパを こらしめないといけないと思い、そのカッパを なわで木に くくりつけます。
じかんがたち 夕方にもなれば、カッパのあたまのさらは すっかりかわいてしまいました。カッパはなきながら あやまりました。

さすがにこれだけ なかれると、おしょうさんも 気のどくに 思えてきます。おしょうさんは カッパのあたまのさらに 水をかけてやりました。
するとカッパはたちまち げんきになりました。なんとじりきで なわをちぎって、走ってにげて 行ったほどです。

カッパ

しかしつぎの日から おしょうさんは カッパに くるしめられました。あさからお寺に ぞろぞろとカッパたちが やって来て、大さわぎするのです。おどうでさわいだり、へやをちらかしたり、しまいには 畑のさくもつを あらすようになりました。
さすがにここまで やりたいほうだいされてしまうと、おしょうさんも がまんできません。
おしょうさんは 村人とそうだんして、カッパを おとなしくさせようと 思い立ちました。

村人にたくさんの 石をひろって来てもらい、おしょうさんが いっこいっこの石に おきょうを ふでで書いていきます。その石をこんどは 村人がはこんで カッパがすむ川に ほうりなげました。

するとどうでしょう。ありがたい おきょうの力で、水の中にすむ カッパたちのからだが だんだんしびれて 手足がじゆうに うごかなくなったのです。
これにはカッパたちも ねをあげて、おしょうさんの 前に出て来て ひざまずき、あやまりました。
「もういたずらを しませんから、ゆるしてください。いったマメから めを出すことがあったとしても、みなさんに めいわくをかけません」

おしょうさんは にこりとほほえんで、川の石を とりのぞくよう 村人にめいじました。
それからはカッパたちは いっさい いたずらをしなくなったそうな。


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