むかしがたり

成敗されたカッパがくれたものは、頭の骨だった「河童のくれたされこうべ」

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河童のくれたされこうべ 神奈川県横浜市

  • ようかい

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、滝の川(たきのがわ)という川が今の横浜あたりに流れていました。上流の小さな山に滝があり、そこから流れてくる川だったので、この名が付いたと言われていました。

その滝の滝つぼにはカッパが棲んでいたと言います。何百年も生きたカッパで、いたずら好き。滝の棲みかからのこのこと街道まで出掛けては、旅の人たちを驚かせたり、馬の背中に載せた荷物を盗んだりして楽しんでいました。

もちろん楽しんでいたのはカッパだけで、いたずらされたり荷物を盗まれた旅人たちは嬉しくありません。 皆が困っているとの噂を聞いた、近くに住む浪人が
「困っている人を助けるのも我の役目じゃ」
と、カッパの棲む滝まで出掛けて行きました。

この浪人はなかなかの剣術使いで、滝つぼで休んでいたカッパを見つけると、得意の剣さばきでカッパを驚かせ、巧みにやっつけてしまいます。

滝

捕えられたカッパはすっかり観念したようで、涙を流しながら赦しを乞いました。
「どうか命だけはお助けください。私には夫がいたのですが、大蛇と戦って命を落としてしまいました。二人の子供を育てるために、これまで悪事を働きましたが、二度と人様に迷惑かけません」

「嘘を言って我を騙すと、ただじゃおかんぞ」
浪人がすごむと、カッパはますます涙を流し、
「嘘偽りはございません。その証に、私の命の次に大切な物を今宵、お届けしましょう」
そこまで言うのなら…と浪人はカッパを赦すことにしました。

その夜、浪人が寝ていると、ドスンと物が落ちる音がしました。
なにごとかと眠い目をこすり、外に出てみれば、玄関先にカッパの頭の骨が転がっていたそうです。

「世にも珍しいカッパの頭の骨とはいえ、貰っても嬉しくないのう」
浪人は苦笑いするしかなかったのだとか。

むかしむかし、滝の川(たきのがわ)という川が今の横浜(よこはま)あたりに ながれていました。じょうりゅうの 小さな山にたきがあり、そこからながれてくる川だったので、この名がついたと言われていました。

そのたきの たきつぼにはカッパがすんでいたと言います。何百年も生きたカッパで、いたずらずき。たきのすみかから のこのこと かいどうまで出かけては、たびの人たちを おどろかせたり、ウマのせなかにのせた にもつをぬすんだりして たのしんでいました。

もちろん たのしんでいたのはカッパだけで、いたずらされたり にもつをぬすまれた たびびとたちは うれしくありません。 みんながこまっている とのうわさをきいた、ちかくにすむ ろうにんが
「こまっている人を たすけるのも われのやくめじゃ」
と、カッパのすむ たきまで出かけて行きました。

このろうにんは なかなかの「けんじゅつつかい」で、たきつぼで休んでいたカッパを見つけると、とくいの けんさばきでカッパをおどろかせ、たくみにやっつけてしまいます。

滝

とらえられたカッパはすっかり かんねんしたようで、なみだをながしながら ゆるしをこいました。
「どうかいのちだけは おたすけください。わたしには『おっと』がいたのですが、『だいじゃ』とたたかって いのちをおとしてしまいました。ふたりの子どもをそだてるために、これまであくじを はたらきましたが、にどと ひとさまにめいわくかけません」

「ウソを言ってわれをだますと、ただじゃおかんぞ」
ろうにんがすごむと、カッパはますます なみだをながし、
「うそいつわりは ございません。そのあかしに、わたしのいのちのつぎに たいせつなものを こよい、おとどけしましょう」
そこまで言うのなら…とろうにんはカッパをゆるすことにしました。

そのよる、ろうにんがねていると、ドスンと ものがおちる音がしました。
なにごとかと ねむい目をこすり、そとに出てみれば、げんかん先にカッパのあたまのホネが ころがっていたそうです。

「よにもめずらしい カッパのあたまのホネとはいえ、もらってもうれしくないのう」
ろうにんは にがわらいするしかなかったのだとか。