【千葉県】目つぶしの絵馬

目つぶしの絵馬 千葉県柏市
ふしぎどうぶつ

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、千葉の柏(かしわ)にある、布施(ふせ)の弁天さんで起こったお話です。
弁天さんの近くの村では、村人たちが大きな悩みを抱えていました。丹精込めて育てた畑の作物を、何者かに食べられてしまっていたのです。作物を食べられるだけではありません。畑を踏み荒らされて、葉っぱも茎も折れ曲がり、無茶苦茶になっていました。

荒らされた畑には、決まって馬の蹄の跡がたくさん残っていました。これが犯人だと察した村人は、残った蹄の跡を辿って行きました。しかし弁天さんのすぐ近くで、ぷっつりと蹄の跡がなくなっているのです。
「ここからどこへ行ったんだべ…?」
村人は首を捻るばかりでした。

このまま放っておくわけにはいきません。なんとかして畑を荒らす馬を捕まえて、これ以上悪さをしないようにしないと、村は飢えてしまいます。村人たちは相談して、夜通し畑の見張りをすることにしました。

じっと息を殺して畑を見守る村人たち。夜もかなり更けてきました。月がそろそろ真上に来ようかというころに、動きがありました。
どこからともなく馬が二頭現れたのです。

馬は畑の作物を食べ始めます。それも手当たり次第に食べ散らかすという様子で、所構わず踏み荒らしては、次々と作物をむさぼり食べるのです。
食べ終わると今度は、二頭で畑の中を走り回って追いかけっこです。畑は取り返しのつかないありさまになっていました。

馬

そろそろ夜明けも近くなってきたころ。ようやく遊び回るのにも飽きたのでしょう。二頭の馬は畑を出て、てくてくと歩きはじめました。
そして弁天さんの近くまでやってきたときのことです。馬の後ろをこっそりつけてきた村人たちは、驚いて腰を抜かしてしまいました。
突然二頭の馬の身体がみるみると小さくなり、そのまま宙に浮かんだのです。そして空を翔けるように弁天さんの中へ飛んで行くのです。

ここで見失ってはこれまでの努力が水の泡。村人たちは必死で後を追いました。
またもや不思議なことが起きました。音もなく飛んで行った二頭の馬が、弁天さんの本堂に懸かっている額の中に吸い込まれてしまったのです。

村人たちは驚くやら何やら恐ろしいやら。何か幻でも見たのかもしれないと不思議な気持ちで、それぞれ家へ帰りました。

明くる日、村人たちは弁天さんに足を運んで、昨晩見たことをお坊さんに全て話して聞かせました。
話を黙って聞いていたお坊さんは、うーんと唸ったあと、大きく頷いて本堂に向かいました。

本堂には二頭の馬が描かれた額が懸かっています。お坊さんは筆に墨をたっぷり付けると、迷うことなく絵の馬の目玉を塗りつぶしました。
「これで馬の目は見えまい。見えなければ畑に出掛けることもなかろう」

お坊さんが言ったとおり、それ以降は馬が畑を荒らすことはなくなったそうな。

むかしむかし、千葉(ちば)の 柏(かしわ)にある、布施(ふせ)の「べんてんさん」で おこったおはなしです。
「べんてんさん」の ちかくの村では、村人たちが 大きななやみを かかえていました。たんせいこめて そだてた畑の さくもつを、なにものかに 食べられてしまっていたのです。さくもつを 食べられるだけでは ありません。畑をふみあらされて、はっぱも くきも おれまがり、むちゃくちゃに なっていました。

あらされた畑には、きまってウマの「ひづめ」のあとが たくさんのこっていました。これがはんにんだと さっした村人は、のこった「ひづめ」のあとを たどって行きました。しかし「べんてんさん」の すぐちかくで、ぷっつりと 「ひづめ」のあとが なくなっているのです。
「ここからどこへ 行ったんだべ…?」
村人は くびをひねるばかりでした。

このまま ほうっておくわけにはいきません。なんとかして 畑をあらす「ウマ」を つかまえて、これいじょう わるさを しないようにしないと、村は うえてしまいます。村人たちは そうだんして、よどおし 畑の 見はりを することにしました。

じっといきを ころして 畑を見まもる 村人たち。よるもかなり ふけてきました。月がそろそろ ま上に来ようか というころに、うごきがありました。
どこからともなく 「ウマ」が2とう あらわれたのです。

「ウマ」は 畑のさくもつを 食べはじめます。それも手当たりしだいに 食べちらかす というようすで、ところかまわず ふみあらしては、つぎつぎと さくもつを むさぼり食べるのです。
食べおわると こんどは、2とうで 畑の中を 走り回って おいかけっこです。畑は とりかえしのつかない ありさまに なっていました。

馬

そろそろ よあけも 近くなってきたころ。ようやくあそび回るのにも あきたのでしょう。2とうの「ウマ」は 畑を出て、てくてくと 歩きはじめました。
そして「べんてんさん」の 近くまで やってきたときのことです。ウマのうしろを こっそりつけてきた 村人たちは、おどろいて こしを ぬかしてしまいました。
とつぜん 2とうの ウマのからだが みるみると小さくなり、そのままそらに うかんだのです。そして空を かけるように「べんてんさん」の中へ とんで行くのです。

ここで見うしなっては これまでの どりょくが 水のあわ。村人たちは ひっしで あとをおいました。
またもや ふしぎなことが 起きました。音もなく とんで行った 2とうのウマが、「べんてんさん」の ほんどうに かかっている 「がく」の中に すいこまれてしまったのです。

村人たちは おどろくやら 何やらおそろしいやら。何かまぼろしでも 見たのかもしれないと ふしぎな気もちで、それぞれ家へかえりました。

明くる日、村人たちは 「べんてんさん」に 足をはこんで、さくばん見たことを おぼうさんに 全て話して 聞かせました。
話を だまって聞いていた おぼうさんは、うーんと うなったあと、大きくうなずいて ほんどうに 向かいました。

ほんどうには 2とうの「ウマ」が えがかれた「がく」が かかっています。おぼうさんは ふでに すみを たっぷりつけると、まようことなく えの「ウマ」の目玉を ぬりつぶしました。
「これで『ウマ』の 目は見えまい。見えなければ 畑に出かけることもなかろう」

おぼうさんが 言ったとおり、それいこうは ウマが畑を あらすことは なくなったそうな。


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布施弁天

布施弁天

「布施の弁天さま」の名で親しまれている寺で、正式名は紅龍山布施弁天東海寺。大同2年(西暦807年)に弘法大師作といわれる弁財天像を本尊として開山しました



よみ ふせべんてん
住所 千葉県柏市布施1738
電話 04-7131-7317
時間
休み なし
料金 無料
その他  

画像引用:布施弁天東海寺様(http://www.fusebenten.com/)

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