むかしがたり

お金大好き!!!をこじらせると、こうなってしまうのです…「九升坊」

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九升坊 群馬県桐生市

  • ちょっとこわい

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、ある村にそれはそれは大層ケチな男が一人で住んでいました。そのケチっぷりときたら、度を越したものでした。

食べものはごくわずかしか食べず、少しでも食べ残しては翌日にそれを食べるという徹底ぶり。服も新しく買うことはせず、破れても気にせずにずっと着ていました。

一切お金を使わずに過ごしては一年が過ぎ、また一年が過ぎ、爪に火を灯す暮らしを長い間続けて来たのです。

男は村の人とも関わりを持たず、ずっと家に引き籠っていました。
そんな変わり者のケチな男にも、ただひとつだけ楽しみがありました。それはこれまで少しずつ少しずつ蓄えたお金を数えることでした。

男の家の床板をめくると大きな壺があり、その中にとんでもない大金を貯め込んでいたのです。

壺

男は一升の枡を手に取ると、壺の中をザクザクと掬います。枡の中は黄金色に輝く小判で一杯になりました。
「小判が一升」
続けてもう一回掬いました。
「小判が二升」
こうやって毎晩、男は壺の中が空っぽになるまで数えるのでした。数えている間が、男にとって何よりの幸福だったのです。

そしてある夜のこと。
この夜も男は一升枡を手にすると、床板を外して壺の中をザクザクと掬い始めました。
「小判が一升」
「小判が二升」
・・・

・・・
「小判が九升」
最後まで数え終った時のことです。いきなりドンドンと戸を叩く大きな音がしました。
あまりに突然の大きな音だったので、男は驚きのあまりにその場に突っ伏して倒れてしまいました。

「夜分すまんが、一晩泊めてもらえんじゃろか…」
戸がそろりと開き、ひとりの坊さんが顔を覗かせながら声をかけてきました。
しかし坊さんが目にしたのは、小判の山と倒れた男という不思議な光景でした。
男は既に息絶えていたのでした。

むかしむかし、ある村に それはそれは たいそうケチな男が ひとりで住んでいました。そのケチっぷりときたら、どをこしたものでした。

食べものは ごくわずかしか食べず、少しでも 食べのこしては よく日に それを食べるという てっていぶり。ふくも新しく かうことはせず、やぶれても 気にせずに ずっときていました。

いっさいお金を つかわずにすごしては 一年がすぎ、また一年がすぎ、つめに火をともす くらしを長い間 つづけて来たのです。

男は 村の人とも かかわりをもたず、ずっと家に ひきこもっていました。
そんなかわりものの ケチな男にも、ただひとつだけ たのしみがありました。それはこれまで 少しずつ少しずつ たくわえたお金を かぞえることでした。

男の家の ゆかいたをめくると 大きなつぼがあり、その中に とんでもない大金を ためこんでいたのです。

壺

男は 1しょうの「ます」を 手に取ると、つぼの中を ザクザクとすくいます。「ます」の中は こがね色にかがやく 小ばんで一ぱいになりました。
「小ばんが1しょう」
つづけてもう一回 すくいました。
「小ばんが2しょう」
こうやって毎ばん、男はつぼの中が 空っぽになるまで かぞえるのでした。かぞえている間が、男にとって 何よりの こうふくだったのです。

そして あるよるのこと。
このよるも 男は1しょう「ます」を 手にすると、ゆかいたを外して つぼの中をザクザクと すくいはじめました。
「小ばんが1しょう」
「小ばんが2しょう」
・・・

・・・
「小ばんが9しょう」
さいごまで かぞえおわった 時のことです。いきなりドンドンと 戸をたたく 大きな音がしました。
あまりにとつぜんの 大きな音だったので、男はおどろきのあまりに そのばに つっぷして たおれてしまいました。

「やぶんすまんが、一ばん とめてもらえんじゃろか…」
戸が そろりと開き、ひとりの ぼうさんが かおを のぞかせながら こえをかけてきました。
しかし ぼうさんが 目にしたのは、小ばんの山と たおれた男という ふしぎなこうけいでした。
男はすでに いきたえていたのでした。