むかしがたり

キュウリ畑を荒らしてしまうカッパをこらしめようと村人はカッパを捕まえて…「古川のカッパ」

ホーム > 関西地方 > 古川のカッパ

古川のカッパ 大阪府門真市

  • ふしぎようかい

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、古川という川が流れていて、そこにカッパの河太郎(かわたろう)が住んでいました。

ある年、その夏は日照りが続いていました。雨が全く降らず、古川の水も枯れてしまいました。水がない川にいても仕方ないので、河太郎は陸に上がり、畑の作物をむしゃむしゃと食べています。カッパの大好物と言えばキュウリ。キュウリ畑のキュウリは河太郎が次々と食べてしまい、村人はカンカンに怒りました。

「汗水流して植えたキュウリを全部河太郎に食べられてしもうた」
「わしの畑もそうじゃ。河太郎がみーんな食べてしもうたぞ」
「こうなったら河太郎をひっ捕らえて、うんと懲らしめてやらんと」
「そうじゃそうじゃ」
「しかし、河太郎の悪さも問題じゃが、こうも雨が降らんと、他の作物も枯れてしまいよるぞ」
「神社の神さんに祈ってるけれども、聞き届けてくれとらんのかのう」
「お寺の坊さんも雨が降るように念仏を唱えてくれておるが、なかなか…」

降らない雨も心配でしたが、まずはイタズラばかりする河太郎を捕まえようと決めた村人たち。キュウリ畑に罠を仕掛けたところ、キュウリ好きな河太郎はあっさり罠に引っ掛かりました。

キュウリ

いざ、捕まえてみたものの、どうやって懲らしめたものかと考えあぐねます。時間だけがただ過ぎていきました。
そうこうするうちに、陸に上がって時間が経ってしまったせいで、河太郎の頭のお皿も水気を失い、どんどん乾いていきました。カッパにとってお皿の水はとても大事です。だんだん苦しくなってきた河太郎は泣いて頼みました。

「お願いします。もう畑の物を食べたりしません。だからどうか許してください」
村人たちは信じていいのかどうか迷いました。
「神様、どうかこの土地に雨を降らせてください。罪滅ぼしにどうぞお願いします」
カッパが雨乞いをしたものですから、村人たちは今度は大笑い。
「坊さんが念仏を唱えても降らなかった雨だ。カッパが祈ったところで、何も起きやせん」

ところが、あれだけ晴れていた空がみるみると曇り出したかと思えば、いきなりざざざあっと、大変な勢いで大粒の雨が降り出したのです。
雨は三日三晩降り続き、畑を潤し、すっかり干上がっていた古川も元の流れを取り戻しました。
しかし、河太郎は罠にかかったままの姿で息絶えてしまっていたのです。
村人たちは申し訳ないことをしたと悔い改め、カッパの墓を建てて、供養をしたのだそうな。

むかしむかし、古川(ふるかわ)という川が ながれていて、そこにカッパの河太郎(かわたろう)が住んでいました。

ある年、そのなつは 日でりが つづいていました。雨がまったくふらず、古川の水も かれてしまいました。水がない川にいても しかたないので、河太郎は りくに上がり、畑のさくもつを むしゃむしゃとたべています。カッパの大こうぶつと言えばキュウリ。キュウリ畑のキュウリは河太郎が つぎつぎと たべてしまい、村人はカンカンにおこりました。

「あせみずながして うえたキュウリをぜんぶ河太郎に たべられてしもうた」
「わしの畑もそうじゃ。河太郎がみーんな たべてしもうたぞ」
「こうなったら河太郎を ひっとらえて、うんと こらしめてやらんと」
「そうじゃそうじゃ」
「しかし、河太郎のわるさも もんだいじゃが、こうも雨がふらんと、ほかのさくもつも かれてしまいよるぞ」
「じんじゃのかみさんに いのってるけれども、聞きとどけて くれとらんのかのう」
「お寺のぼうさんも 雨がふるように ねんぶつを となえてくれておるが、なかなか…」

ふらない雨もしんぱいでしたが、まずはイタズラばかりする河太郎を つかまえようと きめた村人たち。キュウリ畑にワナをしかけたところ、キュウリずきな 河太郎はあっさり ワナにひっかかりました。

キュウリ

いざ、つかまえてみたものの、どうやって こらしめたものかと かんがえあぐねます。時間だけがただ すぎていきました。
そうこうするうちに、りくに上がって 時間がたってしまったせいで、河太郎のあたまの おさらも 水気(みずけ)をうしない、どんどんかわいていきました。カッパにとって おさらの水は とてもだいじです。だんだんくるしくなってきた 河太郎は ないてたのみました。

「おねがいします。もう畑のものを たべたりしません。だからどうか ゆるしてください」
村人たちは しんじていいのかどうか まよいました。
「かみさま、どうかこの土地に雨をふらせてください。つもほろぼしに どうぞおねがいします」
カッパが あまごいをしたものですから、村人たちは こんどは大わらい。
「ぼうさんが ねんぶつをとなえても ふらなかった雨だ。カッパがいのったところで、何もおきやせん」

ところが、あれだけ はれていた空がみるみると くもり出したかと思えば、いきなりざざざあっと、たいへんないきおいで 大つぶの雨が ふり出したのです。
雨はみっかみばん ふりつづき、畑をうるおし、すっかり ひあがっていた古川も もとのながれを とりもどしました。
しかし、河太郎は ワナにかかったままのすがたで いきたえてしまっていたのです。
村人たちは もうしわけない ことをしたと くいあらため、カッパのはかを たてて、くようをしたのだそうな。