むかしむかし、山口の湯田(ゆだ)というところに吉敷川(よしきがわ)という川が流れていました。
ある暑い日のこと、ひとりの旅の坊さんが川のたもとに辿りつきました。ちょうど喉が渇いた坊さんは、川辺で洗濯をしているおばあさんを見つけて、声をかけました。
「おばあさんや、ちょっとすまんが、水を一杯くださらんか」
おばあさんは一度振り向いて、坊さんをじっと見ると、また何事もなかったように洗濯の続きを始めてしまいます。
坊さんはもう一度おばあさんに水をくれるように頼みました。
すると、おばあさんは怒った声で、
「なんだね、うるさいよ。忙しくしているのが分からないのかね。お前のような汚い坊主の世話なんて、まっぴらごめんだ」
こう言い捨てたのです。
坊さんは悲しそうな顔をして、水も飲まず、そのまま歩いて去ってしまいました。
![強い日射し](images/sunshine.jpg)
その夏、湯田の村には全く雨が降りませんでした。川の水はどんどん少なくなり、しまいには全て枯れてしまったのです。
川の上流では、水が充分に流れていました。ところが、おばあさんが洗濯していたあたりで、水が消えて無くなってしまうのです。そして、そこから下流の方へしばらく歩けば、また水がぶくぶくと湧き出して、流れを作っているというのです。
村の人は非常に不思議がり、きっとあの坊さんは弘法大師様だったに違いない、あのおばあさんの慈悲の心の無さを戒めるために、川の水を消してしまったのだと噂しました。
これより、村では旅の人に優しく親切にするようになったとの話です。
むかしむかし、山口の湯田(ゆだ)というところに 吉敷川(よしきがわ)という川が ながれていました。
あるあつい日のこと、ひとりのたびの ぼうさんが 川のたもとに たどりつきました。ちょうどのどがかわいた ぼうさんは、川べで せんたくをしている おばあさんを見つけて、こえをかけました。
「おばあさんや、ちょっとすまんが、水をいっぱいくださらんか」
おばあさんは いちどふりむいて、ぼうさんを じっと見ると、また何ごともなかったように せんたくのつづきを はじめてしまいます。
ぼうさんは もういちど おばあさんに水をくれるように たのみました。
すると、おばあさんは おこったこえで、
「なんだね、うるさいよ。いそがしくしているのが わからないのかね。おまえのような きたないぼうずの せわなんて、まっぴらごめんだ」
こう言いすてたのです。
ぼうさんは かなしそうなかおをして、水ものまず、そのままあるいて さってしまいました。
![強い日射し](images/sunshine.jpg)
そのなつ、湯田の村には まったく雨がふりませんでした。川の水は どんどん少なくなり、しまいにはすべて かれてしまったのです。
川のじょうりゅうでは、水がじゅうぶんに ながれていました。ところが、おばあさんが せんたくしていたあたりで、水がきえて なくなってしまうのです。そして、そこから かりゅうのほうへ しばらくあるけば、また水がぶくぶくと わき出して、ながれを作っているというのです。
村の人は ひじょうにふしぎがり、きっとあのぼうさんは 「こうぼうだいし」さまだったに ちがいない、あのおばあさんの じひのこころのなさを いましめるために、川の水をけしてしまったのだと うわさしました。
これより、村では たびの人にやさしく しんせつにするようになったとの はなしです。
昔話の舞台へでかけよう
吉敷川
![吉敷川](images/mizunashi.jpg)
上流は水がありますが、国道435号の良城橋あたりから水がなくなり、湯田大橋あたりで再び水が姿を見せます。水なし川の別称があります
よみ | よしきがわ |
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住所 | 山口県山口市吉敷中東4 |
電話 | 083-933-3770(山口県土木建築部河川課) |
時間 | 24時間 |
定休 | 無休 |
料金 | 無料 |
その他 |
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画像引用:一般財団法人山口観光コンベンション協会様
(http://lookyamaguchi.blog70.fc2.com/blog-entry-182.html)