【岐阜県】養老の滝

養老の滝 岐阜県養老町
ふしぎゆうめいかんこうスポット

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

今から千三百年ほど昔のお話です。ある山里でひとりの若者が、父親と一緒に暮らしていました。若者はたいそう親孝行で、年をとって身体が弱ってしまった父親を、大切に大切に世話したのでした。

栄養のある美味しいものを食べさせて、もっと長生きしてほしい。若者はそう思って、毎日せっせと働きました。稼いだいくばくかのお金は無駄使いすることなく、大事に使いました。

父親はお酒が好きでしたが、貧しい暮らしだったため、お酒をたくさん買う余裕はありません。ですから若者は、こつこつお金を貯めて、たまにお酒を買って来ては、父親に飲ませていました。
「もっと稼げたら、酒くらい、しょっちゅう飲ませてやれるんだが…」
「なあに、たまにでも、こうして飲めるだけでありがてえことだ」
貧しいながらも、ふたりは仲良く暮らしていたのです。

ある日のこと。若者は山に薪を採りに行きました。日がそろそろ暮れそうな頃合いでしたが、もう少したくさん持って帰ろうと、せっせと拾って歩きます。
しかしうっかり足を踏み外し、若者は崖から落ちてしまったのでした。

しばらく気を失っていた若者でしたが、気が付いてみると辺りにはなんだか良い香りが漂っています。水が流れる音も聞こえてきました。
きょろきょろと見回してみれば、そこには大きな滝があったのです。

養老の滝

ちょうど喉が渇いていた若者は、すぐに滝壷の近くに歩み寄りました。両手で水を掬って、ひとくち飲んでみたところ、なんということでしょう。滝の水は水ではなく、お酒だったのです。しかも今まで飲んだことがない美味しいお酒でした。
「これはすごい…」
若者はお酒を汲んで水筒に入れて、家へと持ち帰りました。

なかなか帰って来ない息子を心配していた父親でしたが、元気そうに戻って来た姿を見て一安心。
そして若者が持ち帰ったお酒を飲んで、今度はびっくり。
「こんな旨いお酒は飲んだことがないわい。どこで買ってきたんだい」
「買ってねえだ。実はな…」
若者があらましを話して聞かせると、父親は大きくうなずきました。
「そうかそうか。それはきっと孝行息子のために、神さんが滝の水をお酒に変えてくれたんじゃろう」

それ以降、若者は毎日滝にお酒を汲みに行きました。
この不思議な話は、遠くの都にも伝わりました。そんな珍しいことがあるのかと、帝が直々に滝にやって来るほどの騒ぎになったのです。
老いた親を思う気持ちの素晴らしさに心を打たれた帝は、この地を養老と名付けたのでした。

今から千三百年ほど むかしのおはなしです。ある山里で ひとりのわかものが、父おやといっしょに くらしていました。わかものは たいそう おやこうこうで、年をとって 体がよわってしまった 父おやを、たいせつに たいせつに せわしたのでした。

えいようのある おいしいものを たべさせて、もっと長生き してほしい。わかものは そうおもって、まいにちせっせと はたらきました。かせいだいくばくかの お金は むだづかいすることなく、だいじにつかいました。

父おやは おさけが すきでしたが、まずしいくらしだったため、おさけを たくさんかう よゆうはありません。ですからわかものは、こつこつ お金をためて、たまにおさけを かってきては、父おやに のませていました。
「もっとかせげたら、さけくらい、しょっちゅう のませてやれるんだが…」
「なあに、たまにでも、こうして のめるだけで ありがてえことだ」
まずしいながらも、ふたりは なかよくくらしていたのです。

ある日のこと。わかものは 山にたきぎを とりに行きました。日がそろそろ くれそうな ころあいでしたが、もう少し たくさんもってかえろうと、せっせとひろって あるきます。
しかしうっかり 足をふみはずし、わかものは 「がけ」から おちてしまったのでした。

しばらく気をうしなっていた わかものでしたが、気がついてみると あたりには なんだかよいかおりが ただよっています。水がながれる音も 聞こえてきました。
きょろきょろと 見まわしてみれば、そこには大きなたきが あったのです。

養老の滝

ちょうどのどが かわいていた わかものは、すぐにたきつぼの ちかくに あゆみよりました。りょう手で 水をすくって、ひとくち のんでみたところ、なんということでしょう。たきの水は 水ではなく、おさけだったのです。しかも今まで のんだことがない おいしいおさけでした。
「これはすごい…」
わかものは おさけをくんで すいとうに入れて、いえへと もちかえりました。

なかなかかえってこない むすこをしんぱいしていた 父おやでしたが、げん気そうに もどってきた すがたを見て ひとあんしん。
そしてわかものが もちかえった おさけをのんで、こんどはびっくり。
「こんなうまいおさけは のんだことがないわい。どこで かってきたんだい」
「かってねえだ。じつはな…」
わかものが あらましを はなしてきかせると、父おやは 大きくうなずきました。
「そうかそうか。それはきっと 『こうこうむすこ』のために、かみさんが たきの水を おさけに かえてくれたんじゃろう」

それいこう、わかものは まいにち たきにおさけを くみに行きました。
このふしぎな はなしは、とおくのみやこにも つたわりました。そんなめずらしいことが あるのかと、みかどが じきじきに 「たき」にやってくるほどの さわぎになったのです。
おいたおやを おもう気もちの すばらしさに 心をうたれたみかどは、この地を 「ようろう」と名づけたのでした。


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養老の滝

養老の滝

落差32m、幅4mの滝で、日本の滝百選と名水百選に選定されています。この地を行幸した元正天皇は元号を「養老」に改元しました



よみ ようろうのたき
住所 岐阜県養老町養老公園
電話 0584-32-0501(養老公園事務所)
時間
休み なし
料金 無料
その他  

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