立山と白山、どちらも高い山ですが、勝ったのはどっち？「立山と白山の背くらべ」

むかしむかしのことでした。越中（富山県）の人たちと加賀（石川県）の人たちが言い争っていました。

「何をおいても立山より高い山はなかろうぞ」
「いやいや、白山のほうが高いに決まっておる。白山に較べたら、立山なんて子供の背丈ほどじゃて」
「そんなわけがない。立山の高さったら、見上げて首が痛むほどじゃ。白山なんて低い低い」
とまあ、山の高さを競って言い合っていたのです。

しかし、言い合うだけでは何も解決しません。
それでは実際に立山と白山の背くらべをしてみようじゃないか、ということになりました。

早速、竹を縦に割ってどんどん継ぎ足し、長い長い樋を作ります。「そぉれ」の掛け声で、樋の片方の端を立山のてっぺんに、反対側の端を白山のてっぺんに備えつけました。

立山の頂上にいた越中の人たちが、樋に水を流したところ、水は白山に向かって流れて行きました。
「こりゃいかん」
白山の頂上にいた加賀の人たちは、慌てて履いていた草鞋（わらじ）を樋の下に重ねて挟みこみます。
すると今度は水は立山に向かって流れだしたのです。

「な、なんと…！」
勝利を確信していたはずの越中の人たちはびっくり仰天。どうしてもこの勝負、負けるわけにはいかないのだと、石ころを一つ拾って樋の下に挟みました。

するとどうでしょう、立山に向かってきていた水がぴたりと止まりました。どちらにも流れなくなったのです。

これを見た越中の人たちは、立山は白山よりも石ころ一つ分高さが低いのだと思い込むようになってしまいました。
それ以降、越中の人が立山に登る時は石ころを一つ持って登り、立山が白山の高さを追い越すようにと願って、てっぺんに石を置いて来るようになったそうな。

むかしむかしのことでした。越中（えっちゅう・とやまけん）の人たちと加賀（かが・いしかわけん）の人たちが言いあらそっていました。

「何をおいても立山（たてやま）より高い山はなかろうぞ」
「いやいや、白山（はくさん）のほうが高いに　きまっておる。白山にくらべたら、立山なんて子どもの　せたけほどじゃて」
「そんなわけがない。立山の高さったら、見上げて　くびがいたむほどじゃ。白山なんてひくい　ひくい」
とまあ、山の高さを　きそって言い合っていたのです。

しかし、言い合うだけでは何も　かいけつしません。
それではじっさいに　立山と白山の　せいくらべを　してみようじゃないか、ということになりました。

さっそく、タケをたてにわって　どんどんつぎたし、長い長い「とい」を作ります。「そぉれ」のかけごえで、「とい」のかたほうのはしを　立山のてっぺんに、はんたいがわのはしを　白山のてっぺんに　そなえつけました。

立山のちょうじょうに　いた越中の人たちが、「とい」に水をながしたところ、水は白山にむかって　ながれて行きました。
「こりゃいかん」
白山のちょうじょうにいた加賀の人たちは、あわてて　はいていた「わらじ」を「とい」の下にかさねて　はさみこみます。
するとこんどは　水は立山にむかって　ながれだしたのです。

「な、なんと…！」
しょうりを　かくしんしていたはずの越中の人たちは　びっくりぎょうてん。どうしても　このしょうぶ、まけるわけには　いかないのだと、石ころを　ひとつひろって「とい」の下にはさみました。

するとどうでしょう、立山にむかってきていた水がぴたりと　とまりました。どちらにも　ながれなくなったのです。

これを見た越中の人たちは、立山は白山よりも石ころひとつぶん　高さがひくいのだと　おもいこむようになってしまいました。
それいこう、越中の人が立山にのぼるときは　石ころをひとつ　もってのぼり、立山が白山の高さを　おいこすようにと　ねがって、てっぺんに　石をおいてくるようになったそうな。