むかしがたり

夢のお告げを信じた男は、橋のたもとでひたすら待ち続けました「みそ買い橋」

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みそ買い橋 岐阜県高山市

  • ふしぎかんこうスポット

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、飛騨の乗鞍岳(のりくらだけ)のふもとの沢上(そうれ)というところに、貧しい炭焼きの男が住んでいました。その男、名前を長吉(ちょうきち)といいました。

ある夜のこと。囲炉裏端で長吉がすやすや寝ていると、夢枕に長いあごひげを蓄えた仙人が現れました。そして不思議なことを言うのです。

「長吉や。目が覚めたら高山(たかやま)の町へ行くのじゃ。高山に着いたら、みそ買い橋で立っておれ。良い話が聞けるはずじゃろうて」

目が覚めた長吉は、おかしな夢を見たものだなあと思いました。それでも夢の仙人の言葉を信じて、なにはともあれ行くだけ行ってみようと決心します。

長吉は早速、炭をかついでエッホエッホと山を下り、まだ昼になる前に高山の町に到着しました。
炭はあっという間に売れました。身軽になった長吉は、仙人が言っていた「みそ買い橋」に向かいます。

高山

「みそ買い橋」とはおかしな名前です。
なぜならちょうど味噌屋の前に懸かった橋で、町の人が皆その橋を渡って味噌を買いに行くので、いつしかそう呼ばれていたのでした。

長吉は夜になるまで橋のたもとで、じっと立っていましたが、良い話などさっぱり聞けません。
夜が明けて朝になりましたが、同じでした。
それでも夢のお告げを信じ、長吉は立ち続けました。

こうしてとうとう5日経ちました。さすがに疲れてしまい、長吉もすっかり諦めの気持ち。
そこへ橋のそばの豆腐屋のじいさんが声を掛けてきたのです。

「おまえさん、ずっとそこで立っているが、何かわけでもあるのかい」
長吉は素直に夢のことを話しました。するとじいさんは大笑いして、
「そんな馬鹿な話があるか。夢を真に受けちゃいかん。わしだってそんな夢を見るが、たとえば…そうじゃのう…
乗鞍岳の沢上ってところの、長吉とかいう男の家の前の木の下に大判小判が埋まっておるから掘ってみよとかいう夢を見たが、そんなもの信じるはずがなかろうさ。ハハハハハ」

「…これだ!」
長吉は一目散に家に戻り、家の前の木の根元を鍬で掘り返しました。
すると大判小判が詰まった大きな甕が3つも出てきたのです。

夢のお告げを信じた長吉は、村で一番の長者になったそうな。

むかしむかし、飛騨(ひだ)の乗鞍岳(のりくらだけ)のふもとの沢上(そうれ)というところに、まずしい すみやきの男が すんでいました。その男、名前を長吉(ちょうきち)といいました。

あるよるのこと。いろりばたで 長吉がすやすや ねていると、ゆめまくらに 長いあごひげをたくわえた せんにんがあらわれました。そしてふしぎなことを言うのです。

「長吉や。目がさめたら高山(たかやま)の町へ行くのじゃ。高山についたら、『みそかいばし』で立っておれ。よいはなしが聞けるはずじゃろうて」

目がさめた長吉は、おかしなゆめを見たものだなあと おもいました。それでもゆめのせんにんの ことばをしんじて、なにはともあれ行くだけ行ってみようと けっしんします。

長吉はさっそく、すみをかついでエッホエッホと山を下り、まだ ひるになるまえに 高山の町にとうちゃくしました。
すみは あっというまに うれました。みがるになった長吉は、せんにんが言っていた「みそかいばし」にむかいます。

高山

「みそかいばし」とはおかしな名前です。
なぜならちょうど「みそや」の前にかかった はしで、町の人がみな そのはしを わたって「みそ」をかいに行くので、いつしかそう よばれていたのでした。

長吉はよるになるまで はしのたもとで、じっと立っていましたが、よいはなしなどさっぱり聞けません。
よるがあけて あさになりましたが、同じでした。
それでもゆめの おつげをしんじ、長吉は立ちつづけました。

こうしてとうとう5日たちました。さすがに つかれてしまい、長吉もすっかり あきらめの気もち。
そこへはしのそばの 「とうふや」のじいさんが こえをかけてきたのです。

「おまえさん、ずっとそこで立っているが、何かわけでもあるのかい」
長吉はすなおに ゆめのことをはなしました。するとじいさんは大わらいして、
「そんなばかな はなしがあるか。ゆめを まにうけちゃいかん。わしだってそんなゆめを見るが、たとえば…そうじゃのう…
乗鞍岳の沢上ってところの、長吉とかいう男の家のまえの木の下に『おおばんこばん』がうまっておるから ほってみよとかいう ゆめを見たが、そんなもの しんじるはずがなかろうさ。ハハハハハ」

「…これだ!」
長吉はいちもくさんに いえにもどり、いえのまえの木のねもとを 「くわ」でほりかえしました。
すると「おおばんこばん」がつまった大きな「かめ」が3つも出てきたのです。

ゆめのおつげを しんじた長吉は、村でいちばんの ちょうじゃになったそうな。

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 筏橋

筏橋

「みそ買い橋」のモチーフになった橋で、赤い欄干で有名な中橋の一本北側に懸かっています


よみ いかだばし
住所 岐阜県高山市本町2
電話 0577-35-3145(高山市観光課)
時間 24時間
定休 なし
料金 無料
その他  

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画像引用:高山市様(http://www.hida.jp/data/photo/)