むかしがたり

ネズミ退治のために猫を飼い始めた坊さん。ある夜の夢に…「法船寺のねずみたいじ」

ホーム > 中部地方 > 法船寺のねずみたいじ

法船寺のねずみたいじ 石川県金沢市

  • ふしぎ動物

一般向け かんじすくなめ こどもむけ

むかしむかし、金沢の町に法船寺(ほうせんじ)という寺がありました。そこの坊さんにはひとつだけ悩み事がありました。本堂に住みついたネズミのいたずらに困っていたのです。

お供え物は食べられる。花は折られる。お経を書いた経文は齧られる。天井の板も外れてしまって、みっともないったらありゃしません。

そこへ、坊さんが困っていると聞いた村のじいさんが、一匹の子猫を連れてやって来ました。
「この子の親はたくさんネズミを捕まえてくれたんで、この子猫もきっとお役に立ちましょう」

坊さんは喜んで子猫を引き取り、大事に育てました。子猫はすくすくと大きくなりましたが、一向にネズミを捕まえる気配がありません。一日中寝てばかりいるのです。坊さんはがっかりしました。

ある夜。
坊さんは夢を見ました。夢の中で、飼っているあの猫がぼそぼそと話しかけてきたのです。
「本堂のネズミじゃが、あれは俺っちの手には負えない強いネズミじゃ。加勢してくれる強い猫が能登(のと)の鹿島(かしま)におるんで、ちょっと呼んで来るでの」

猫

数日経ったころ、境内に見慣れない猫がいました。寺で飼っていた猫と一緒にいたので、坊さんは
「夢のとおりに助っ人を呼びに行って帰って来たのだな。よろしく頼むぞ」
と喜びました。

その夜。
二匹の猫は本堂の天井裏に入っていきました。なりゆきが気になる坊さんはお経を唱えながら猫を応援しました。寺の小間使いの男たちも二人やってきて、棒を振りながら一緒に応援です。

天井裏でドタバタと音が続いたと思ったら、突然天井の板が抜けて大きな大きなネズミが落ちてきました。
「こいつだ!やっつけろ!」
男たちは暴れまわるネズミを棒でぶっ叩き、しばらくしてようやくネズミは息絶えました。

ネズミ退治はなんとか終わりました。けれども肝心の二匹の猫が天井裏から戻ってきません。
坊さんは梯子を登って天井裏を覗いてみることにしました。
「よいしょっと」
暗い天井裏まで辿りついた坊さんでしたが、そこにはすっかり息絶えていた二匹の猫が転がっていたのでした。激しい格闘によって命を失っていたのです。

坊さんは泣いて感謝し、こんな立派な猫は他にいないと、お墓を建てて毎日祈りを捧げました。
その猫たちの墓は、月日が随分流れた今でも寺に残っているのだそうな。

むかしむかし、金沢(かなざわ)の町に法船寺(ほうせんじ)という寺がありました。そこのぼうさんには ひとつだけ なやみごとがありました。ほんどうに すみついたネズミのいたずらに こまっていたのです。

おそなえものは たべられる。花は おられる。おきょうをかいた きょうもんは かじられる。てんじょうのいたも はずれてしまって、みっともないったら ありゃしません。

そこへ、ぼうさんが こまっていると聞いた村のじいさんが、一ぴきの子ネコを つれてやって来ました。
「この子のおやは たくさんネズミを つかまえてくれたんで、この子ネコもきっと おやくに立ちましょう」

ぼうさんは よろこんで子ネコをひきとり、だいじに そだてました。子ネコはすくすくと大きくなりましたが、いっこうにネズミをつかまえる けはいがありません。一日じゅう ねてばかりいるのです。ぼうさんは がっかりしました。

あるよる。
ぼうさんは ゆめを見ました。ゆめの中で、かっているあのネコが ぼそぼそと はなしかけてきたのです。
「ほんどうのネズミじゃが、あれは おれっちの手には おえない つよいネズミじゃ。かせいしてくれる つよいネコが能登(のと)の鹿島(かしま)におるんで、ちょっと よんで来るでの」

猫

すうじつ たったころ、けいだいに見なれないネコがいました。寺でかっていたネコと いっしょにいたので、ぼうさんは
「ゆめのとおりに すけっとを よびに行って かえって来たのだな。よろしくたのむぞ」
とよろこびました。

そのよる。
二ひきのネコは ほんどうの てんじょううらに入っていきました。なりゆきが気になる ぼうさんは おきょうを となえながらネコを おうえんしました。寺のこまづかいの男たちも ふたりやってきて、ぼうをふりながら いっしょにおうえんです。

てんじょううらで ドタバタと音がつづいたと おもったら、とつぜん てんじょうのいたがぬけて 大きな大きなネズミが おちてきました。
「こいつだ!やっつけろ!」
男たちは あばれまわるネズミを ぼうでぶったたき、しばらくしてようやくネズミは いきたえました。

ネズミたいじは なんとかおわりました。けれどもかんじんの 二ひきのネコが てんじょううらから もどってきません。
ぼうさんはハシゴをのぼって てんじょううらを のぞいてみることにしました。
「よいしょっと」
くらいてんじょううらまで たどりついた ぼうさんでしたが、そこにはすっかり いきたえていた二ひきのネコが ころがっていたのでした。はげしい かくとうによって いのちをうしなっていたのです。

ぼうさんは ないて かんしゃし、こんなりっぱなネコは ほかにいないと、おはかをたてて まいにち いのりをささげました。
そのネコたちのはかは、月日がずいぶんながれた 今でも寺に のこっているのだそうな。

 昔話の舞台へでかけよう

 法船寺

法船寺

境内の墓地の片隅には二匹の猫を弔った「義猫塚」があります


よみ ほうせんじ
住所 石川県金沢市中央通町11-46
電話 076-221-8017
時間 日中
定休 なし
料金 無料
その他  

より大きな地図で 法船寺 を表示

画像引用:株式会社鎌倉新書様
(http://www.e-ohaka.com/detail/id1278398310-930121.html)